地域に広がるバイオマスエネルギーの取り組みとこれから。

2月16日に木質バイオマスエネルギーフォーラムに参加してきました。会場は岩手県紫波町のオーガルエリア。オーガルエリアでは紫波グリーンエネルギー株式会社が木質チップで温熱・冷熱を生産し、エリア内に熱供給しています。エリア内には紫波町の庁舎とオーガルベースという体育館やホテルがある建物、57区画の住宅地があります。

これらの施設には、エネルギーステーションと配管をつなぐことにより、熱を供給する仕組みになっているんですね。配管の総延長はなんと3.5㎞!!!

設置にあたっては、事前にかなりのシュミレーションをしたようで、各部屋ごとに24時間365日の熱量を計算したということです。さらにエネルギーを最大限使用できるよう、ホテルの浴場の湯は需要の少ない夜中に温めておくとか、庁舎のような大きな施設は一気に温めること、その他の需要に対応できなくなるので、朝5時から段階を分けて暖めるという取り決めを事前に交わしていたとのこと。

需要が最大の時に合わせていたら、どんどん設備が大きくなってしまいます。それを防ぐために、時間帯を調節して使用しているのです。

 

海外と日本のバイオマス事情

バイオマスが進んでいるのはやはりヨーロッパ。1980年ごろから石油に変わってバイオマスエネルギーなどの地域熱供給が始まりました。当初は大きな施設の建設が目立っていたようですが、採算性の問題などから、800kW以下の小規模の施設が増えていきました。

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出展:一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会

なんとオーストリアでは約2000カ所も地域熱供給をしているところがあるそうです。オーストリアの面積は83,870k㎡ですので、ちょうど北海道くらいの大きさですね。そのくらいの面積に2000カ所もあるというのは驚きです。それこそ、数十世帯分の熱量を供給できればいいという施設が多い。熱供給に必要なチップは林家が自分で伐採する、まさに自給自足の生活なのです。

このように多くの地域でバイオマスエネルギーを導入できるのは、木材を搬出する経路がしっかりと整備されているからです。

日本では石油の流通とともに、木材のエネルギー使用はほとんどなくなり、さらに建材などでの木材需要も外材に取られてしまった影響で、路網が整備されていないのです。つまり木を簡単に出せる状況ではなく、お金をかけて出さないといけないのですね。そういう木材をエネルギーとして使うのは採算性が悪い。

そういう中でバイオマスエネルギーに使用するチップを海外から輸入するという本末転倒なことも起こっています。地域の木材を使うことで、地域にお金を落とすということも大きな目的の一つなのに、海外から来る木材を使っているというのは、ただ単に、石油が木材に変わっただけに過ぎないんですね。あまり意味ないです。

 

こういう状況を脱するためには、やはり木材を切ることできちんと採算性が取れる環境を作り出さないといけないのだと思います。それには木材を真の意味でカスケード利用することです。建材として高く売れるやつは高く売る、そしてその端材や建材にならないをバイオマスに使う、という流れを作っていかないと、いつまでも補助金頼りのままですね。建材の方が高く売れるのは知っているけど、仕分けるのが面倒さいから全部バイオマスに流すとかいう話も聞きますけど、そういうのはずっと成り立つものではないのです。

 

今後のバイオマスエネルギーのポイントとしては、

・比較的小さな規模のもの

・木材を山から搬出しやすい体制をつくる

・木材の適切なカスケード利用

このあたりでしょうか。

 

まだまだ課題は山積みです。