【東京オリンピック】どこよりも詳しい選手村交流施設の木材無償提供問題まとめ。

 

こんにちは。@shoheiomiです。

今朝Twitterを眺めていたらこんなニュースが流れ込んできました。

 

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が選手村の交流施設の建設材料を全国から無償で募集するとの決定をしたとのこと。

これはビックリです。

Twitterでも早速話題に。やっぱり「これはいかんだろ!」と思う人が多いようですね。

 

ただでさえ林業・木材業は厳しい状況。

それどころか補助金もらってようやく成り立ってているというところが多いというのに、その上無償提供できるような体力はなかなかない状況です。

木材業界もオリンピック誘致当時は期待していましたよ。国産材を使うきっかけになるとか、認証材の認知度を上げるとか業界としてのオリンピックへの期待というのはあったけれど、それも経済効果あってこそ。

ますます林業は苦しい状況になり、補助金依存体質はさらに加速するという状況もあり得ます。

 

 

無償化のよくわからない点

各所から非難轟々の「無償化問題」。

正直、公開されている情報が少なすぎてよくわからないんですよね。

組織委員会のホームページで発表されている情報はこれだけ。説明不足すぎて、いろんなとこにツッコミたくなります。

「日本の木材活用リレー〜みんなで作る選手村ビレッジプラザ~」の概要を報告本プロジェクトは、全国の自治体から無償で借り受けた木材を使用してビレッジプラザを建設し、大会後に解体された木材をレガシーとして活用していただくプロジェクトです。
各地域の木材を建物の様々な箇所に使用することで、多様性と調和を表現するとともに、環境負荷を低減し、持続可能性の実現を目指します。7月25日(火)に公募要項を発表し、10月上旬に協力地方公共団体を決定、11月頃に発表する予定です。

引用:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

 

う〜ん。よくわからない。

NHKのニュースの方が情報量が多いので、情報を補足します。

木材は、製材であれば種類は問わず、自治体名を明記できるということで、組織委員会は全国の木材を使うことで多様性と調和を表現したいとしています。

木材を提供してもらう自治体は、9月11日から公募し、10月上旬に45の自治体を決めたいとしています。

組織委員会は「木材を全国から募ることで大会機運の醸成につなげ、コスト削減と大会の記憶が残る取り組みにしていきたい」と話しています。

引用:NHK NEWS

 

気になった点をまとめてみます。

①自治体から無償で借り入れる

「自治体から」という部分に引っかかります。林業や木材業者から自治体が買取り、組織委員会に提供するということなのでしょうか。しかも丸太じゃなくて製材品となると、最低でも、林業事業者→製材業者→運送業者という三業者が絡むことになります。開催地から遠い自治体ともなれば運送費だけでもバカになりません。業者が納得する前に自治体が先走って手を挙げるということにならなければ良いですが。

>>公募要領が発表されたので追記

応募資格があるのは、地方公共団体(道府県及び区市町村)で、近隣の地方公共団体が共同して連名で応募することができるようです。また、各団体において、木材関連事業者(林業業者や森林組合、製材会社等)の協力を得ることができます。

 

②製材であれば種類を問わない

製材して提供しろというのもおこがましい話ですが、種類というのは一体何を指すのでしょうか。樹種のことかな。それこそ何樹種類ときたらどうするんだろう。木の種類によって収縮率が異なるので建設用材がバラバラというのはあまり好ましくないと思いますが、「仮設だしそこまでクオリティ求めなくていいか」ということなのでしょうか。

>>公募要領が発表されたので追記

やはり種類とは、樹種のことのようですね。

「スギ、ヒノキ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ、アカマツ、ヒバ等とする」とのことから想定しているのは針葉樹のよう。広葉樹を受け付けないのかは不明。

また、事業協力者は、木材の調達、製材等の1次加工、仕口加工等の2次加工も担当するということですから、単なる板挽きの製材ではなくて、きちんと仕上げ加工されたものという意味合いのようですね。近隣の自治体とも連携できるようですが、近場で全部加工できるところが全国に何ヶ所あるのかは疑問です。

 

③大会後に解体された木材をレガシーとして活用していただく

「解体した木材を引き取ってくれ」と言っているようにも思えます。仮に指揮とってもらうとすれば運搬費はどこが持つのでしょうか。まさか各自治体持ちなのだろうか。仮に自治体が「1本しかいらない」と言ったら、そのほかの分は組織員会の方で処分してくれるのか、それとも全部持っていってねという話なのでしょうか。

>>公募要領が発表されたので追記

事業協力者の役割

  • 事業協力者は、木材の調達、製材等の1次加工、仕口加工等の2次加工、往復の運搬、後利用に伴う設計・施工等を行う。
  • これらに係る費用は、事業協力者が負担する。

とのことから、往復の運搬費は各自治体が持つということですね。

なかなか厳しい条件ですね〜。

  • 組織委員会は、提供木材をビレッジプラザの解体後の形状や量のまま、現状有姿にて事業協力者に返却する。

これを読む限りでは、解体した後でてきた木材は全て自治体が引き取らなくてはならないということのようですね。全部有効活用なんてできないから、ほとんど持ち帰ってから処分なんてことになる可能性もありますね。

持ち帰った木材は、大会のレガシーとして公共的な施設、ベンチ・椅子等を想定しているよう。ただし、国際オリンピック規定により、商業利用はできません。

 

今回の決定は組織委員会が定めた調達基準に合致するのか

このニュース読んでいて思ったことが、

「あれ、組織委委員会って木材調達の基準定めていなかったっけ?」

「もしかすると今回の決定は、その基準に合致しないのでは?」

ってことです。

そう思ってさらに組織委員会のホームページを調べていると、やっぱりありました。

組織委員会は2016年6月に組織委員会が調達する物品・サービス等に使用される木材について、持続可能性の観点から調達基準を策定しているんですよね。

 

1.本調達基準の対象は以下の木材とする。

ア 建設材料として使用する製材、集成材、直交集成板、合板、単板積層材、フローリング

イ 建設に用いられるコンクリート型枠合板

ウ 家具に使用する木材(製材端材や建設廃材等を再生利用するものを除く)

引用:持続可能性に配慮した木材の調達基準

これを読む限り、今回無償で集める木材は、アの建設材料として使用する「製材」という部分に当てはまりそうです。基準対象と考えていいでしょう。

では、調達の基準はどのようなものでしょうか。

組織委員会は、木材について、持続可能性の観点から以下の1~5が特に重要と考えており、これらを満たす木材の調達を行う。なお、コンクリート型枠合板については再使用の促進に努め、再使用する場合でも1~5を満たすことを目指し、少なくとも1は確保されなければならない。

  1. 伐採に当たって、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令等に照らして手続きが適切になされたものであること
  2. 中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来すること
  3. 伐採に当たって、生態系の保全に配慮されていること
  4. 伐採に当たって、先住民族や地域住民の権利に配慮されていること
  5. 伐採に従事する労働者の安全対策が適切に取られていること

引用:持続可能性に配慮した木材の調達基準

 

簡単に言えば、組織委員会は、持続可能性の観点から主に法令、経営、生態系、安全性について基準を設け、これらを満たす木材しか調達しませんと言っているわけです。

この基準の是非はともかく、基準を出すからには、持続可能性を推進していかなければいけない立場なのはいうまでもないでしょう。

にもかかわらず、今回組織委員会は持続可能性を損ねてしまうような決定をしている・・・ように感じられます。

林業・木材業が持続性を保つのは、まず補助金依存体質から抜け出さないといけない。そのためには安定的に稼いでいかなければいけないのは間違いないと思います。

でも現状そうなってない事業者が多くて、日々大変な思いをして働いていわけです。そんな状況で「無償で提供してくれっ」てことになったら、間違いなく経営を圧迫し、ますます補助金に頼らざるを得なくなります。それは持続可能性を損ねることにつながるのではないでしょうか。「儲からなければ続かない」これがホンネです。

問題山積みの東京オリンピック。負のレガシーにならないことを祈っています。