【樹木図鑑】松茸だけじゃない。木材としてのアカマツの可能性。

松茸の木として知られているアカマツ。海岸沿いに多いクロマツと比べ山地に生えます。乾燥に強く、尾根筋に多いのが特徴です。かつては薪や炭用として多く植林されましたが、プロパンガスや都市ガスの普及によりエネルギーとしての役割はほとんどなくなりました。また材木としても、アオが入りやすく、松食い虫による被害も拡大しているため、扱いにくく、スギやヒノキに比べ活用が進んでいません。

学名 Pinus densiflora
別名 メマツ、オンナマツ
分類 マツ科マツ属 (常緑高木)
分布 北海道(西南部)、本州、四国、九州、朝鮮、中国北東部

 

松茸とアカマツ

マツタケは樹齢30年以上のアカマツ林に育ちます。アマツタケ菌は、比較的乾燥した土壌を好むので、落ち葉が堆積し腐葉土になり、湿った環境だとマツタケ菌は育たなくなります。

かつて山村では、アカマツ林の落ち葉や枯れ枝が、焚き付け用や堆肥用として日常的に利用されていたので、腐葉土や枝がたまることなく、松茸が育ちやすい環境がありました。人々が生活の中で山に入っていたことが、マツタケの収穫量に大きく関わっていたのです。しかし、ガスや石油が普及し、薪や炭を日常的に使わなくなると、落ち葉がたまり、腐葉土化してしまい、アカマツが育ちにくい環境になってしまいました。

「昔は踏むほどあった。」という話も聞くくらいでしたので、マツタケはそれほど高価なものでもなかったのですが、今では一本数万円というビックリする価格で販売されていたりします。

木材としての可能性

アカマツは建築用材や内装材、製紙用のチップとして利用されることがあります。ただ、松に共通することなのですが、ヤニが多く、カラマツのような堅固さもないので積極的な活用はされていません。

また「マツノザイセンチュウ」という体長1ミリメートルにも満たない線虫が松の樹体内に入ることで引き起こされる松食い被害や、伐採後に乾燥せずに放置しておくとすぐに青変菌の侵害によるブルーステイン(通称アオ)が入るので、見栄えが悪いとして敬遠されることもあります(強度は変わらないとされています)。

個性を生かした製品展開

悪いことばかり書きましたが、そんな扱いにくいアカマツも、松食いの跡や、ブルーステインを模様に見立てた個性を生かした製品展開ができれば、活用の幅が広がるはずです。

 

ブルーステインが入った積み木は個性的で面白い模様が印象的です。