【樹木図鑑】綺麗なだけじゃない。樹液や樹皮の活用が進むシラカバ。

東北や北海道を代表する木として人々に親しまれているシラカバの特徴は、何と言ってもその白く美しい樹皮でしょう。その美しい樹皮は民芸品やお土産品として使用されることがあります。比較的日当たりの良いところに群生する先駆樹種であり、暗く木々に覆われた環境下では生育しません。

木材としては、柔らかく狂いやすいため、あまり活用されていません。また白っぽい見た目でブルーステインも入りやすいため扱いが難しい木材です。

学名 Betura platyphylla var. japonica
別名 シラカンバ
分類 カバノキ科カバノキ属 (落葉高木)
分布 北海道、本州(福井、岐阜県以北)、アジア東北部

 

樹皮や樹液の活用が進む

木材としてはあまり活用されませんが、樹皮や樹液を生かした製品開発が進んでいるのでいくつかご紹介いたいます。

樹皮

古くからフィンランドやロシアではオーナメントやカゴなどの材料としてシラカバの樹皮が活用されてきました。シラカバの樹皮は日常生活に欠かせないものだったのです。近年では、伝統的な北欧暮らしを体験できるとあって日本でも白樺の樹皮を使った小物作りをする作家さんも増えてきました。FOREST PEOPLEでも樹皮を編み込んだしおりを製造しています。

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樹液

シラカバは樹液も採取できます。カエデのようなメープルシロップはできませんが、シラカバの樹液も煮込めば、甘い香りと味がします。シラカバの樹液はミネラル分を多く含むので、東北や北海道ではシラカバの樹液を飲料水や化粧水、石鹸などに加工して販売する取り組みが広がりつつあります。

<樹液の可能性>

  • 樹液は同じ木から毎年採取できるので資源の枯渇を心配しなくていい
  • 樹液の販売先が見つかれば、毎年の収入源ができる
  • 十数年間樹液を採取した後に材木としても販売できる

40〜50年に一度しか材木は得ることができないので、山主や山林経営者にとって毎年の収入源になる樹液採取は、非常に画期的な取り組みになるかもしれません。

ただし、地域によっても時期は若干異なりますが、春先の1ヶ月しか採取できないので、その間に集中して採取しなくてはなりません。東北や北海道ですとまだ寒い時期ですし、山には雪が残っていることもありますので、それなりに重労働でしょう。

ちなみに1日で一本あたり1〜2ℓ採取できるので、数十本、数百本と採取できればかなりの量になります。運ぶのも大変ですし、それだけの量を保管するのも大変ですが、1リットルあたり数百円で販売している地域もあるようなので、それなりの商売にはなります。個人的には、季節のアルバイト的な位置で始められないかと考えています。