樹液ビジネスが林業を変える4つの理由。

 

こんにちは。@shoheiomiです。

林業は儲からない・・・そう言われて久しいですが、今日はそんな林業に新しい可能性をもたらしてくれそうな樹液ビジネスについて考えてみたいと思います。

 

樹液ビジネスとは何か

簡単に言えば、木から樹液を取り出して、それを売るビジネスです。例えばカエデの木の樹液ならば、そのまま飲み物にできるし、メープルシロップにもできるし、お菓子にも、化粧品にもなります。

埼玉県秩父市で豊富なカエデ資源を活かした樹液ビジネスを構築していることはご紹介しましたよね。

 

樹液ビジネスが面白い理由

樹液ビジネスが面白い理由はいくつかあります。

①空白の期間を埋められる

林業には、お金にならない空白の期間が存在します。

木は植林してから伐採するまで60年程度かかります。その間、その木は一銭も稼いでくれません。

それどころか下草刈りや間伐など管理費でお金が出て行ってしまうのですね。苦労して育てた木でも、結局赤字・・・ということはよくあります。

しかし樹液は、建材にならないような細い木でも取ることができます。

しかも毎年です。

30年生の木から、伐採さるるまで30年間、樹液を取り続けることができたらどうでしょうか。

今まで60年に一度しかお金にならなかった木が、30年間も稼いでくれるのです。

これは林業界にとって非常に画期的なことです。もちろん、樹液を取りつくした後に建材用の原木として販売することもできます。

 

樹種によっても異なるでしょうが、一本のカエデの木から毎年およそ60リットルの樹液を取ることができます。

1リットル当たりの買取価格は400円程です。つまり毎年24,000円の収入になるのです。

それが30年続くとすれば、720,000円!!!これはすごいことですよ。山に30本も樹液が出る木があれば、21,600,000円。単純な計算ですが、それだけのビジネスになる可能性があるのです。実際に秩父市では実現しつつあります。

②山主の関心を取り戻せる

稼げるようになることで、山主の山林管理への関心も取り戻すことができます。

山林管理ではお金にならないから、子供達には相続しない。子供達には都会で仕事を見つけてもらいたい。というような状況を変えることができるかもしれません。

山で稼げるようになることで、若い人が地元に残るという選択肢ができるのです。

 

③持続可能な森づくりをすることができる

とりあえずお金にしようとして、大量に伐採する必要がなくなります。皆伐してお金をかけて植林しようなんてことをしなくていいのです。

また、樹液が取れる木を見つけるために山に入って一本一本確認します。確認するためには木に詳しくならないといけません。

樹種もわかる必要がありますし、確認するうちに、よく樹液が取れる木の共通点を見つけることができるでしょう。日当たりだったり、周りの植生だったり、環境が樹液量に作用しているかもしれません。それを知ることで効率よく採取できるとしたら、必死になって山のことを勉強するでしょう。

そのように、山をきちんと見る機会ができるのです。それは持続可能な森づくりにつながる大事な一歩です。

 

④消費者と接点を増やせる

一次産業と言われる農林水産業の中で、林業は消費者との接点がとても少ないという問題があります。

農業や漁業であれば、食事という形で毎日触れる機会がありますよね。毎日食べるものだから、どこで、だれが生産しているのか気にするのです。健康に関わることですから、とても敏感になっている人もいますね。

 

林業はどうでしょうか。

住宅を建てるときの柱や床材、家具として木が使われている・・・多くの人にとってそのくらいのイメージしかないのではないでしょうか。

木を意識できる機会が少ないのです。

最近は内装に木を使わない住宅も多いので、ますます木との接点がなくなりつつあります。また、住宅や家具など高価なものが多いので、興味のある人でもなかなか接点が持てないという問題もあります。

しかし、樹液は、食べたり飲んだりすることができるので、特別木に興味がある人でなくても気軽に楽しむことができます。住宅や家具に比べ価格が安いので、多くの人が楽しめるきっかけになりますよね。

お土産コーナーに並んでいれば、他にない商品に目を惹かれることでしょう。たとえその場で購入しなかったとしても、木で面白いことやっている街なんだと印象付けることができます。

そうやって接点を増やすことで地域ブランドを作り上げていくのです。

 

最後に

木材をどのように活用するかということもとても大切なことなのですが、「材」というところに捉われすぎている・・・そう感じます。

木材単体じゃなくて、もっと森を見ること。森林全てが資源なのだと。そういう意識が必要になってくるのでしょうね。樹液ビジネスはその契機になると思います。

 

個人的な話なのですが、サワグルミからも樹液が取れることが分かったので、ニヤリとしています。勉強しないと。

 

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