岩泉町は町の93%をしめる森林をいかし、持続可能な森づくりを目指しています。今日はその岩泉町で製材業を営む清水畑商事(有)をご紹介いたします。
町の中心から15分ほど車を走らせたところにある清水畑商事さんは、岩泉の明日の林業をつくる会にも参加していただいていて、これからの岩泉町の森林資源を生かすための仕組みづくりの中心を担う会社です。
清水畑商事
製材所ってどんなことをしているんだろう?社長の田鎖政夫さんにお話を伺いました。
ーどのようなお仕事をされているのですか?
木材の製材をやっています。丸太の状態で入ってきて、板にするんです。主に製材しているのはスギです。それからアカマツ、広葉樹もやります。数量は全体で言うと、どれくらいかな。年間2500㎥くらいかなあ。月だと200㎥くらいか。うん、それくらいだな。
ー岩泉町はアカマツが多いと聞きましたが。
うん、でもアカマツの需要はあまり多くないんですよ。それと、結構ね、色が入るんです。青シミですね。少し置いておくとすぐシミが出てくるというのは聞いたことがあります。青シミは漂白剤で落ちるんですよ。一回それで落としたんだけど、大工さんがカンナかけて、またシミが出てきちゃったもんで、もう一回漂白剤で落としたことがあります。表面しか落ちないんですね。
ー木材はどのあたりから入ってくるのですか?
スギは大川とか有芸とか、ちょっと宮古の住所の方もあるけど、町内材が8、9割だね。アカマツは盛岡から仕入れることもあります。クリも町内でとれましたね。昔はね、クリの土台なんか福島の方まで持って行ったんです。
ー福島ですか?結構遠くまで取引されているのですか?
横浜とか、千葉の市場とかそこらへんだね。木場の会社だったか、クリで問い合わせもあったかな。サイズがないものだったから、出せなかったけど。西倉さん(岩泉町の工務店)なんて九州から注文あるって言ってたよね。
ー製材業はどのくらい前からされているのですか?
昭和33か34年くらいだったかなあ。昔はね、駅で積み込む手伝いをしたんです。汽車も客車が1、2両くらいかな、6両くらいが貨車で、そこになんでも積むんだよ。チップ、炭、パルプ、丸太、それから牛も。そういうなかで、製材の需要が高まったんですね。それからずっとやっています。昔はそういうことで、製材所は結構あったんです。でも今はこういう世の中だから、やっぱりやめちゃったところもあるんだね。
ー私も建材メーカーに勤めていましたが、海外の木材におされて国内の木材生産量が激減し、製材業者が少なくなってしまったと聞きました。そのような状況を抜け出そうと岩泉町は国際認証であるFSCを取得し付加価値を付けようとしたわけですが、現在はそれが価格に反映されていませんね。
私のところも西倉さんと一緒にFSCを取ったのですが、認証材が全然出てこなくてやめてしまいました。材料が出てこないものだから、休眠申請を出したのだけど、それでも年間審査料はとられる。それでも続けていたんだけど、5年の更新で30万円くらいとられるというのでやめましたね。
ー認証材が出てこないとはどういうことですか?
それは吉本さん(岩泉町にある製材所、本社は長野県)だけだから。認証林持っているのは。
ー町有林は出てこないのですか?
出てこなかったですね。営林署の時は広葉樹あったんだけど、なくなってからは出てこなくなったね。昔は広葉樹の協同組合もあったけど、それも3社しかなくなったからやめちゃったんです。
ーなるほど。では認証材、特に広葉樹は今後集められるでしょうか。なんとか広葉樹を売っていきたいと思っているのですが。
今回のような材料なら集まると思う。
ーこれなら十分です。フローリングなら小さくても作れますし、それこそ町に集成材工場もあるので、そういうところと連携しながら小さめの材料でも使えるように商品作りを進めたいと思います。
ー岩泉町の林業・木材業についてどうなってほしいという願いはありますか?
やっぱり森林組合あたりが中心となって道路を作って、伐採したら植林するという流れを作ってほしい。それが持続可能な林業につながると思う。それと我々のような地域の製材所とかだとなかなか営業マンは入れられないんですね。でも製材しながら需要を探していくのは難しい。ある程度安定的に使ってくれるところがあるといいんだけどね。そういうのを探す営業マンを入れられる規模があるといいね。
ー地域の小さな企業単体でPRするのは難しい面もあるので、それを地域総合商社が担っていきたいのです。地域の木材関連業者の情報をすべて集めて、こういう商品がありますよ、こういうことができますよというのをどんどん発信していきたい。例えば、後継者の募集なんかも合同でできればいいと思います。情報発信がうまくいっているところは若い人が集まりだしています。
そうですね。そういう統括するところがあって、情報がもらえるとこちらもやりやすいよね。後継者がいないとやめられないよ。本当にね、汚れたりするけど、木をキレイに製材できたときなんて面白いと思うんだよなあ。
ー実現できるように頑張りたいと思います。本日はありがとうございました。
製材の様子
①ある程度皮をむきます。
②丸太を板状にカットします。
③材料をまっすぐにカットします。(耳を落とす)
④製材品
ここまでが製材所の仕事です。この後、桟積みして乾燥させます。皆さんの家にあるフローリングなどはこの状態で加工施設に搬送され、天然乾燥、人口乾燥、加工、塗装という順序で製造されていきます。
③の耳を落とさない状態で使える製品が増えれば、資源を有効に使うことができますね。家具には最適ではないでしょうか。どの樹種がどのくらい出てくるのかという情報がわかれば、メーカーさんも使いやすいですよね。木材のデータ化というのも非常に可能性のある分野です。
今後もこのような形式で地域の企業を紹介していきたいと思います。お楽しみに。
企業情報
清水畑商事有限会社
住所:岩手県下閉伊郡岩泉町浅内字小森69番地