【樹木図鑑】生薬や染め物に古くから親しまれていきたキハダ。

湿り気のある林内に生息します。一般的には樹皮はコルク層で縦に浅く広く裂けますが、樹齢や生育環境により印象が異なるものもあります。樹皮の内層は鮮やかな黄色で、古くから染色材や生薬として活用されてきました。

学名 Phellodendron amurense
別名 ヒロハキハダ、キワダ、黄柏(中)
分類 ミカン科キハダ属 (落葉高木)
分布 北海道、本州、四国、九州、アジア東北部

 

キハダの活用

生薬として

樹皮の薬用名は黄檗(オウバク)であり、樹皮をコルク質から剥ぎ取り、コルク質・外樹皮を取り除いて乾燥させると生薬の黄柏となる。黄柏にはベルベリンを始めとする薬用成分が含まれ、強い抗菌作用を持つといわれる。チフス、コレラ、赤痢などの病原菌に対して効能がある。主に健胃整腸剤として用いられ、陀羅尼助、百草などの薬に配合されている。また強い苦味のため、眠気覚ましとしても用いられたといわれている、また黄連解毒湯、加味解毒湯などの漢方方剤に含まれる。日本薬局方においては、本種と同属植物を黄柏の基原植物としている。

引用:wikipedia

染色材として

キハダは古くから染色材として利用されてきました。草木染め初心者でも簡単に鮮やかな黄色に染めることができるので、非常に重宝する染色材です。

・染色体験

岩泉町でもキハダは生息しているのですが、たまにチップ工場にキハダの丸太が紛れ込んでいるときがあります。図々しいくはありますが、チップ工場にキハダの樹皮を採取していいか聞いたところOKをいただけたので、早速丸太から樹皮を剥いでみました。

まだ丸太が乾燥していない状態なら結構簡単に樹皮を剥ぐことができます(乾燥すると固くなり綺麗に剥がせなくなります)。樹皮の内側は本当に綺麗な黄色です。

剥いだばかりのキハダの樹皮を使ってスカーフを染めてみます。

鍋は大きい方が色むらがなくて良いのですが、今回は家にたまたまあった土鍋を使って染めてみます。

樹皮をなるべく細かくして、散らばらないようにキッチン用の網に入れて、煮出します。20分程度でOKです。そのあとあらかじめ用意してあった絹のスカーフを入れて染めます。絹の場合は染まりやすいので、事前の下準備はなくても大丈夫です。(綿は染まりやすくするために豆乳に浸すこともあります)

そのあと20分程度スカーフを入れたまま弱火で煮出します。20分経ったらスカーフを土鍋から取り出し、ミョウバン液(水に焼きミョウバンを溶いたもの)につけます。ミョウバン液につけることで染めた色をスカーフに定着させることができます。

染める前の絹のスカーフの写真を撮るのを忘れてしまったので、ビフォーアフターでお見せすることができずに残念ですが、真っ白のスカーフがこんなに鮮やかな黄色になりました。