古くからオニグルミの実は食用として人々に親しまれてきました。クルミの実はアク抜きを必要としないので、縄文時代からよく食べられていたそうです。
沢沿いや湿り気のある土地に好んで生息し、密集してオニグルミの林を形成することがあります。またオニグルミの下にはアレロパシー(他感作用)のため、他の木が育たないと言われています。
木材としては、狂いが少なく、加工性も容易であり、ショックを吸収し反発しないことから銃床材として利用されました。現在では、日本のウォールナットとして高級家具材やフローリング材として利用されています。
学名 | Jaglans mandshurica |
別名 | オグルミ |
分類 | クルミ科クルミ属 (落葉高木) |
分布 | 樺太、北海道、本州、四国、九州 |
アレロパシー
オニグルミの特徴としてあげられるのが「アレロパシー」。聞きなれない言葉ですが、アレロパシーとは、
ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称。
引用:wikipedia
のことを言います。オニグルミの場合はユグロンという植物生育阻害物質を持っているので、他の植物を排除し、自らの生育場所を確保することができます。山の中でオニグルミを見かけると、植えたわけでもないのにわりに植物が生えていないということがありますが、オニグルミの持つユグロンのためです。オニグルミは樹皮や果実、落ち葉などにユグロンを含むのでそれが土壌に作用し、他の植物の根の呼吸阻害や窒素固定阻害を起こすと考えられています。
木材として
オニグルミの材はほんのりと赤い色をしています。オイルで磨くと非常にツヤが出て美しいので、家具材として重宝します。クルミは英語に訳すとウォールナットですが、通常ウォールナットというと北米産のブラックウォールナットのことを指します。ブラックウォールナットはその名の通り、黒っぽい色なので、オニグルミとは色合いが異なります。
ブラックウォールナットは非常に人気の高い樹種で、ここ最近はその人気ゆえに価格も高騰し、入手しづらい状況になっています。そのような状況の中で、日本のウォールナットとして売り出されているのがオニグルミなのです。よく見ると導管の雰囲気などにていますが、一般の人から見ると全然違う木なので、果たしてそのような売り方はどうなのか?とは思いますが、クルミではなくウォールナットと言い方を変えたことにより注目が集まったのも事実です。