森の女王とも言われるブナ。ブナが残る森は豊かな森として知られています。樹皮は灰白色あるいは暗灰色で割れ目の無い滑らかな樹皮なので、しばしば地衣類(苔のようなもの)が付いて模様ができています。
ブナの成長は遅いことでも知られ、5年でも樹高1m程にしかなりません。ブナの森は長い長い年月をかけて育まれているのです。
木材としては腐りやすく狂いも大きいため、建築用材としては利用されて来ませんでした。しかし人工乾燥で含水率を下げると比較的安定するため、現在では床材や食器など小物類に多く利用されています。
ブナの生態系
【ブナ】Fagus crenata Blume ブナ属ブナ科
【分布等】
ブナの自生北限は北海道の黒松内低地帯。南限は九州の鹿児島県肝属郡高隈山と言われています。
<北限>
黒松内町の公式ホームページを見ると、”ブナ北限の里”というのが強調されています。
ブナは町の木に指定されています。
黒松内町は1986(昭和61)年、ブナを町木に指定しました。
町内には北限のブナ林として、1928(昭和3)年に国の天然記念物に指定された歌才(うたさい)ブナ林があり、2004(平成14)年10月22日北海道遺産にも選定されています。
引用:黒松内町
<南限>
【天然林における割合】
日本の天然林総面積の17%=26,220㎢
気温と分布について
分布は気温に大きくかかわります。
現在より温暖な約12万年前最終間氷期では、北海道十勝よりブナの実の化石が発見されています。現在より北に北限があったのです。
約2万年前の最終氷河期では、北限は福島県、新潟県のおよそ北緯38度あたりであったと推定されます。現在よりはるか南に北限があったことになります。
このように気温の変化は生物の生息域に大きく影響を与えるのです。
『暖かさの指数(温量指数)』からみるブナ
各月の平均気温のうち、5度以上ある月の温度から生育基準の5度を差し引いて出る数字を足します。平均気温12度なら5を引いて7が指数です。
岩泉町の平均気温から積算してみましょう。
平均気温が5度を超えるのは4月~11月です。
4月は8.9-5=3.9、5月は13.6-5=8.6・・・11月は6.2-5=1.2これをすべて足すと、78.3。
この78.3が岩泉町の暖かさ指数です。
ブナなど冷温帯の落葉広葉樹林の生育域は指数が85~45なので、岩泉町はブナの生育域となります。近年は温暖化の影響もあり、ブナの南限が変わってしまうことが危惧されています。
北と南で葉の大きさは違う
北に来るほどブナの葉は大きくなります。北海道と九州のブナを比べると、縦の長さは倍以上、面積では4~5倍も大きいのです。それは、北国の陽光は相対的に少ないので、どれだけ光を受けられるかという点で、大きいほうが有利であるからです。
フェノロジカルギャップ
また、ブナの開葉は他の樹種より早いことで知られています。これは、他の樹種より早く開葉することで、いち早く陽光を集められるからです。このような春先の開葉時期の差をフェノロジカルギャップといいます。
ブナの製品
ブナで作られたオススメの製品をご紹介いたします。