日本では古くから人々の間で親しまれてきた樹木として知られています。縄文時代にはすでに、実を食用に、木材を住居の土台に使用するため、植栽されていたと言われています。栗山・栗木・栗林など地名に栗の字のつく土地も多く、そのような地域は古くは栗が豊富な土地だったのかもしれません。
実がなることはよく知られていますが、実は初夏に白く小さな花が咲きます。
木材としては、古くから住居の土台や鉄道の枕木に使われていたように、腐食に強く、耐久性があります。
学名 | Castanea crenata |
別名 | ジバグリ |
分類 | ブナ科クリ属 (落葉高木) |
分布 | 全国 |
三内丸山遺跡から見つかった縄文人とクリの関係
三内丸山遺跡は歴史の教科書にも出てくるほど有名な遺跡なので、ご存知のこととは思いますが、現在の青森県青森市にある縄文時代の遺跡で、江戸時代からその存在は知られていたと言われています。1992年に野球場建設のため事前調査が始まり、大型建物の跡が見つかったことから野球場建設が中止となり、その後遺跡として保存されています。
そのとき見つかったのが、6本のクリの木の柱の跡です。その直径は1mにも及びます。クリの木は後の時代に耐腐食性が高く、建築用材として普及しますが、縄文時代にすでに、クリの木が建築材に向いていると考えられていたという事実は驚きです。
また、クリの実は、食用としても普及し、植栽までされていたことがDNA鑑定で判明しています。我々が抱くイメージより、実際の縄文人の暮らしは豊かだったのかもしれません。
広葉樹の中では活用が進む木材としてのクリ
広葉樹は基本的に針葉樹のようにまっすぐに立っていないので、現代の規格化された建築用材としては使いにくいので、チップや家具以外の用途にはあまり利用が進んでいないというのが現実なのですが、クリは何度もご紹介しているように、住宅の土台や鉄道の枕木を始め、フローリングや家具、小物などに幅広く活用が進んでいます。
以前フローリングメーカーで働いていた時によくクリの木材を触っていましたが、広葉樹としては柔らかめで、温かみを感じる触り心地でした。日焼けしやすいようで、よく日が当たる部分はクリの持つタンニンの影響なのか、黄色味が強く変化していきます。