現在に残る炭焼き文化。岩泉の奥地「釜津田」で雪景色の炭窯を見学。

 

こんにちは。@shoheiomiです。

現在、仕事の関係で木炭を使った商品開発を行っているのですが、打ち合わせと取材を兼ねて岩泉の奥地、釜津田地域にある炭窯を訪問してきました。

 

最初に.釜津田地域について

釜津田地域は岩泉の中心街から車で走ること約1時間、岩泉町の中でもとりわけ山深い地域にあります。詳しく調べたことはありませんが、大きな集落はなく、数十件規模の集落が点在しているというような印象です。ちょうど、上の地図の赤丸で囲ったあたりに位置します。

いつも車で通り過ぎるだけで釜津田の民家にお邪魔したことはないのですが、民家の脇にはいつも薪が積まれており、山や自然と共生している地域なのだなというイメージを持っています。

そのように山や自然と密接な関係を保ち続けている地域性もあってか、今でも炭焼きを生業とする職人さんが数名残っていて、品質の高い国産木炭を製造しています。

 

雪景色の炭窯

普段生活している岩泉町の中心街は雪は積もっていないのですが、やはり釜津田は山間地域というだけあり、すっかりと雪景色になっていました。

 

今回の目的はあくまで商品開発のための打ち合わせなのですが、その内容については、ここではまだ発表できないので悪しからず。

 

打ち合わせも終わり、せっかくなので炭窯を見学させていただきました。

 

原木

 

炭窯のそばには山のように原木が積まれています。上質な木炭を作ることができるナラ材を中心に釜津田地域の山から集めてきているそうです。

炭に使用する原木は、木材や建材に使われるものよりも細いものが多いです。太すぎると炭にしたときに使いづらいですし、焼き上げるのもムラが出てしまうため、細いものを伐り出しているようです。

それでも太いものに関してはこのような薪割り機で一本ずつ割っていきます。一回の炭焼きに必要な原木をわる作業だけでも3日間はかかるそうです。

 

 

炭窯外観

 

炭窯自体は珪藻土でできているそうですが、その上に木製の建屋を被せたような構造になっています。

 

炭窯内部

 

炭窯の内部は洞窟のように真っ暗なのですが、木炭用の原木を並べるため、電気をつけて作業しています。

天井は低く、成人の方であればしゃがまないと入れません。職人さんの話によると、できた当初はもう少し天井が高かったようですが、二十数年の間に20〜30センチくらい天井が下がってきたとのことでした。1000度近い高温で焼き上げるため、少しづつ縮んでいるのでしょうか。

 

天井は低いですが、奥行きはかなりあるので約10立米もの原木が入るそうです。そのため原木を窯に入れていくだけでも2日間はかかります。

 

その後、火入れして、一週間ほどかけて高温でこの原木を焼き上げていきます。備長炭のような硬い炭と比較すると低めの温度にはなりますが、それでも1000度近い高温になります。

焼き上げた後も、高温のためすぐに取り出せません。それから10日間ほど冷却させてようやく炭窯の中に入ることができます。ちょうど焼き上げた炭が隣の窯に入っていたので、写真を撮らせていただきました。

 

炭窯建屋内部

 

真っ暗でよくわからないかもしれませんが、建屋の内部、土でできた炭窯本体の上に乗った位置で写真を撮っています。

 

炭窯本体の上部を見ると通気口のような穴が空いていて、その穴を開け閉めすることで温度管理を行うそうです。この棒のようなものは温度計で、これを穴の中に入れることで温度を計ります。

 

 

 

1000度近く上がる炭窯の上に乗っても熱くないの?と疑問に思い聞いてみましたが、あまり熱くならないそうです。何十cmにも盛られた土が熱を遮断してくれるのですね。

 

炭を切る

 

取り出した炭は用途に合わせて使いやすい大きさにカットしていきます。通常は30、15、6cmにカットすることが多いそうです。あれだけの量の炭を一本一本カットするとなると気が遠くなります。

 

 

 

切った炭は箱詰め、袋詰めを行います。炭は「何本入り」という数の単位ではなく、6kg入りとか、15kg入りなど「重量」を基準に取引されています。確かに炭の大きさが異なるので何本というのは難しいですよね。

 

そうこうしていると、ちょうどお客さんが来てダンボール入りの炭を20箱近く買っていきました。

この雪の中、炭釜まを直接買いに来るなんて!

何に使うのでしょうか。

 

見学を終えて

大まかではありますが、炭焼きの工程を一通り見せていただきました。炭焼きはこれだけの時間と手間をかけて行うものなのですね。火入れの瞬間とかみてみたいものですが、そのタイミングで来ないと見れないものなので、また別の機会に楽しみをとっておきます。

今回は炭を使った製品を開発するということで、その打ち合わせしてみて感じたことは、「しっかりと釜津田の地域性や、炭焼きの文化、製造の工程などを知ってもらえるような仕掛けを作っていきたい」ということでした。どのように表現したら伝わるのか、考えていこうと思います。