本州一広い町として知られる岩泉町。その広さは東京都23区の約1.6倍。盛岡市に隣接していますが、そこから岩泉町の中心部までは車で1時間半もかかります。その広大な土地に広がる自然を生かした産業が盛んで、町内で魚・肉・野菜といった生鮮三品が揃う食の豊かな町です。
中でも有名になったのが岩泉ヨーグルト。特殊な方法で製造されるヨーグルトは、もちもちの食感が人気で、多くのリピーターを獲得しています。また日本三大鍾乳洞である龍泉洞は年間20万人近く訪れ、観光業も岩泉の主要産業になっています。
- 人口 :9,959人
- 世帯数 :4,586世帯
- 面積 :992.92平方キロメートル
岩泉町の主要産業
岩泉町は、その面積の93%が森林という豊富な自然資源を生かした一次産業が盛んです。小本浜で水揚げされるサケやウニ、イカなどの海産品、豊富な広葉樹資源を生かした林業と木材業、伐採跡地に放牧した短角牛など畜産業、日本一の収穫量を誇る畑わさび。第三セクターである岩泉ホールディングス(株)を中心に岩泉ブランドを構築し、新たな雇用の場の創出やさらなる産業振興を目指して動き出しています。
畜産業
赤身でヘルシーとのことで女性に人気のある短角牛。そのルーツは南部藩で飼われていた南部牛にあたります。かつて南部藩の時代には海産物や塩、鉄、食料品を運ぶ荷役牛として活躍しました。現在の短角牛はアメリカのショートホーン種(短角種)と南部牛との交配で生まれたものです。
第三セクターである岩泉乳業(株)が製造・販売する岩泉ヨーグルトも岩泉町の酪農を支えています。北海道のような広大な草原があるわけでもなく、岩手県の中でもとりわけ急峻な土地の多い岩泉では比較的小規模な酪農家が多く、経産牛飼養頭数は全国平均の3分の1しかありません。また一頭あたりの乳量も年間7,000リットルと全国平均を1,500リットル下回っています。少ない牛を愛情を込めて育て、品質の高い製品を作る岩泉型の酪農を突き詰めたことで生まれたのが岩泉ヨーグルトなのです。
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林業・木材業
岩泉町は全国でも珍しい広葉樹林業が盛んなところであり、世界認証であるFSC認証を町で取得したことも注目されています。
また町内には森林組合や伐採を行う素材生産業者、製材所、チップ工場、集成材工場、家具工房と木材に関わる業者が数多く存在しています。そのような木材に関わる業者が川上から川下まで集まり、新しい林業・木材業のモデルを作っていこうと「岩泉の明日の林業を作る会」を設立し、定期的に勉強会や工場見学などを実施しています。
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森林を利用した副産物
岩泉町は古くから木炭生産の盛んな地で、現在も釜津田地域を中心に木炭生産が行われています。
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間伐地を利用し栽培される畑わさびは日本一の収穫量を誇ります。沢地で育つわさびと同じものですが、主に茎を利用し、練りわさびなどの加工品の原料として利用されています。
漁業
岩泉町は山のイメージが強いですが、海もあり、岩泉町唯一の漁港である小本浜では、サケやウニ、イカなどが水揚げされます。
また、豊かな海産物を生かそうと小本浜漁協女性部が中心となって商品開発も行っています。サケにイカを混ぜ、すり身にして油で揚げた「鮭ん坊」は「いわての浜料理選手権大会」で見事最優秀賞に輝きました。
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岩泉町の観光
岩泉町は広大な自然を堪能する観光スポットが豊富にあります。もっとも有名なのは日本三大鍾乳洞に数えられる龍泉洞。龍泉洞には年間17万人もの観光客が訪れます。また20分ほど北上したところには、日本一長いと言われる安家洞もあり、まさに岩泉町は鍾乳洞のメッカと言えます。
また、盛岡市との境に位置する早坂高原は森林セラピーに最適です。カタクリやレンゲツツジなどの山野草、白樺やブナなどの広葉樹に囲まれた自然豊かな高原地です。育樹祭やツリークライミングの体験などにも使われています。
観光スポットにはなっていませんが、岩泉町はモシリュウが発見された地でもあります。モシリュウは日本で一番最初に発見された恐竜の化石として有名です。
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